Mavic mini(マビック ミニ)、買ったはいいけどどこで飛ばす? 199gで飛ばせる場所と飛ばせない場所を解説!

10月31日にDJIの新しい機体「Mavic mini(マビック ミニ)」が発表されましたね。

この機体は200gを切る199gなので、航空法に該当しません。
「これならいつでもどこでも飛ばせる」と思って、購入を検討している方も多いのではないでしょうか。

しかし実際には飛ばせる場所はとても限られています。
200g未満だからと買ってはみたものの、「全然飛ばす場所がない!」とならないように予め勉強しておく必要がありますよ。

 

 

航空法に該当する事項(200g以上のドローンが該当)

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まずは通常のドローン(200g以上)を飛行させる場合、必要となる申請をご紹介します。

「Mavic miniは200g未満だから関係ない」と思う方もいらっしゃるかと思いますが、それすら知らずに飛行させるのは大変危険ですよ。

機体が重かろうが軽かろうが、プロペラを高速で回転させ、上空を飛ぶドローンには必ずリスクがあります。
回転しているプロペラが目に当たれば失明する可能性もありますし、上空100mから落下して人に直撃すれば大怪我、最悪死に至る可能性もあります。

特に軽量なドローンは安全確認を怠りやすいので注意が必要です。

軽量なMavic miniであろうが、ドローンを飛ばすのであれば、なぜ航空法で規制されているのかを理解し、ドローンを飛行させる一般的な知識としてその内容を覚えておいて欲しいと思います。

200g以上のドローンに対する航空法は、「許可が必要な空域」「承認が必要になる飛行方法」があります。

そしてその下に、200g未満の機体にも関係する小型無人機等飛行禁止法や道交法と河川法、各自治体の規制がありますので、広範囲な規制からより細かい規制へと順にご説明致します。

 

許可が必要な空域

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・150m以上の高度で飛行
・空港周辺での飛行
・人工密集地区(DID地区)での飛行

※200g未満の機体は申請不要

まず一番広範囲な規制が、「許可が必要な空域」で、上記の3つが挙げられます。

この3つ以外の空域では飛行が可能ということになりますが、その次は「承認が必要になる飛行方法」
というものを考えなくてはいけません。

 

承認が必要になる飛行方法

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・夜間飛行
・目視外飛行
・人や建物から30m以上を確保できない場合の飛行
・イベント上空の飛行
・危険物の輸送
・物件の投下

※200g未満の機体は申請不要

「許可が必要な空域」を先程説明した3つ以外、もしくは申請した場合、次に考えるのが「承認が必要になる飛行方法」になります。

今度は「空域」ではなく「飛行方法」なので、規制範囲が限定され狭くなっていますね。

上記に書いている6つに該当する場合は航空局に申請する必要がありますが、もちろん199gのMavic miniは申請不要です。

航空法が適用される範囲はここまでで、ここから先はMavic miniも許可や申請が必要になるのでよく読んで下さい。

 

 

199g以下のドローンの許可・申請が必要な場合

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「航空法に該当しないからどこでも飛ばせるじゃん」というのは大きな間違いです。

確かに、「許可が必要な空域」「承認が必要になる飛行方法」では申請は不要ですが、決まりはまだまだあります。

ここからご説明するのは199gのMavic miniにも関係することなのでよく読んでご理解下さい。

 

私有地での飛行は許可が必要

ドローンを飛行させる際、一番壁となるのは土地の所有者の承諾です。
土地の権利というのは地下と上空にも発生しますので、他人の土地の上を飛ばす場合はその土地の持ち主に許可が必要になるんですよ。

空撮で民家の上を飛ばしたい場合、通過させるすべての家の持ち主に許可を取る必要があります。

そりゃそうですよね。
自分の土地の上空を無断で飛ばすことが認められたら、もし墜落して家や壁、車を傷つけても「当て逃げ」されてしまいます。

畑や牧草地でもそれは当てはまりますよ。
他人の畑を勝手に撮影していたドローンが墜落、畑にズカズカ入って墜落したドローンを回収した不届き者が訴えられた事例もあります。

「線路」も他人の所有地になりますのでご注意下さい。
横断する際は許可が必要になることを覚えておいて下さいね。

それと、つい最近も空港にドローンが侵入して24便に影響がでました。
これも完全に私有地での無許可飛行になりますので、一年以内の懲役もしくは50万円以下の罰金になります。
それに合わせて飛行機に影響が出た被害額を請求される可能性がありますよ。

 

プライバシー侵害・肖像権問題

Mavic miniは人工密集地区でも飛行申請は必要ありませんが、ところ構わず飛ばして撮影していると、プライバシー侵害と肖像権問題で訴えられることがあります。

特に最近ではyoutubeやSNSに投稿する方も多いと思いますので、注意が必要です。

 

公園は各自治体の条例がある

「土地の所有者の承諾を取るなんて面倒、近くの広い公園で飛ばそう」と思っても、公園は各自治体の条例があります。

私が住む札幌は市内すべての公園でドローンの飛行が禁止されています。
もちろん機体の重量に関係なく、すべてのドローンが飛行禁止です。

最近では全国のほとんどの公園で飛行が禁止されているようなので、公園で飛ばすつもりだった方は事前によく調べてから飛ばして下さいね。

春は桜、秋は紅葉を撮影したいと思うでしょうが、禁止されていれば違法となりますのでご注意下さい。

 

川は河川法で飛行が禁止されている場合がある

「公園がダメなら近くの川で飛ばそう」と思っても、今度は河川法というものがあり、ドローンの飛行が禁止されている場合があります。

先日もバラエティ番組で町紹介の空撮を頼まれたのですが、札幌市の場合すべての河川でドローンの飛行が禁止されています。
もちろん申請をして許可をもらって撮影したのですが、結構面倒な手続きでしたよ。

それでも、河川法は地域によって異なり、それほどドローンに厳しくない印象です。
飛ばす予定の河川があれば禁止されていないかを事前に確認して下さい。

 

観光地はほんとんどが禁止されている

「Mavic miniで旅行を撮影しよう」と考えて購入されるかたもいらっしゃるかと思います。
しかし、観光地はドローンの飛行はほとんどが禁止されています。

普通に考えれば当然ですよね。
人が多く集まるところで飛ばすと危険ですし、景色がよいところでブンブンドローンが飛んでいたら興ざめしてしまいます。

 

国の重要施設は絶対飛行禁止

国会議事堂や内閣総理大臣官邸、外国公館、原子力事業所の周辺地域、自衛隊駐屯地などは飛行が禁止されています。

これも機体の重量に限らず認められていませんのでご注意下さい。

 

道路交通法にも注意!

道路での飛行もご注意ください。
まず、道路上での離着陸に関しては、道路交通法第七十七条における「道路において工事若しくは作業をしようとする者」に該当するので、「道路使用許可申請書(申請料2,100円)」を管轄の警察署に提出し、事前に許可証を取得しておく必要があります。

道路の飛行に関しては、道路を横断する程度なら申請は必要ありません。
しかし、長い距離もしくは低空で道路上を飛行するなど、「道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがある」と判断された場合は違反となる可能性があります。

このあたりの定義は曖昧な部分がありますので、余計なトラブルを避けるためにもまずは警察署に相談してみるとよいかと思います。

 

 

じゃあどこでならMavic miniを飛ばせるの!?

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所有地や道路などは、ドローン飛行の定義があいまいな面があるのは事実ですが、厳密にいえば「Mavic miniだから飛ばせる」ということはほとんどありません。

結局は通常のドローンと同じように、海や申請のいらない川、許可をもらった所有地、山奥で飛ばすことになります。
それならもっと大型の画質のよいもののほうが断然よいのですが、Mavic miniならではの利点もあります。

 

Mavic miniの一番のメリットはイベントでの撮影

Mavic miniの最大の利点はイベントでの撮影が申請なしでできるという点です。

以前にイベントでアメやお菓子をばら撒いたドローンが墜落した事故がありました。
その時は幸いにも怪我などはなかったのですが、それからイベントでのドローンの使用がめちゃくちゃ厳しくなりました。

航空法が適用されるドローンですと、私有地だろうが主催者がOKといおうが申請が必要になります。

・高度20m未満→半径30m以上の立入禁止エリアを設ける
・高度20~50m未満→半径40m以上の立入禁止エリア
・高度50~100m未満→半径60m以上の立入禁止エリア
・高度100~150m未満→半径70m以上の立入禁止エリア

最低でもこの条件で申請書を作成する必要があります。

立ち入り禁止エリアに警備員を配置する必要もありますし、当然飛行の自由も奪われます。

この他の方法もあることはあるのですが、「ドローンをワイヤーで固定する」や「人が集まる場所をネットで防護する」など、お金もかかるしさらなる制限があるので正直現実的ではありません。

こういったことから、今までイベントでの撮影は簡単にはできなかったのですが、今回Mavic miniが登場したことによりイベント運営者からの依頼、もしくは許可が得られれば簡単にイベントで撮影することができるんですよ。

これは素晴らしいですね。
操縦技術がある方なら、今までイベントでは不可能だった映像を撮ることができます。

「イベントなんか関係ない」という方は・・・何を撮影しましょうかね。
人口密集地区でも、自宅の庭や友達の家など自分の所有地や許可をとった土地で飛行することはできます。
例えば、野球場で飛行許可が取れれば、自分の草野球チームの撮影なんかできますよ。

あとは全方位プロペラガードがあるので、室内の撮影も楽しそうですね。

 

 

まとめ:199gでも実は飛ばせる場所は少ない!しかしドローンの敷居は下がった

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まとめとしましては、「199gだー!航空法に関係ないからどこでも飛ばせる!」と騒がれていますが、実際には200g以上のドローンと同じで飛ばす場所は多くはありません。

とはいえ、Mavic miniを購入した方は違法ということを知らず色々なところで飛ばすことが予想されます。
または違法と知っていても、軽量のため軽い気持ちで飛ばす可能性も高いので、今後、事故やトラブルが多発すると思います。

Mavic miniが初めてのドローンという方は、まずは人気のない場所で自由自在に飛ばせるくらいまで練習しておくことをおすすします。

「上昇はどのレバーだっけ? 前進はこれだっけ? ドローンがこっち向いたらわけがわかない」というレベルではお話になりませんよ。

ドローンは機体が小さいほど安定感がありません。
しかもMavic miniは衝突防止センサーがありませんので、トラブルがあった時はとっさに操作できるように練習しておく必要があります。

ドローンはしっかりした知識と操縦技術をもっていればとても楽しいですし、美しい映像が撮影できます。
Mavic miniはそのドローンの敷居を低くして、初心者でも気軽に飛ばせるドローンだと思います。

それでは安全で楽しいドローン生活を!