ドローンのバッテリーについて解説!セルやバランス充電って?Cってなに?

前回は機体とバッテリーを接続するコネクターについて書きましたが、今回はバッテリーそのものについてご紹介致します。

ドローンなどで使用するバッテリーは、今まで使用していた家電などのバッテリーとちょっと違い、専門的な知識が多少必要になります。

予備知識無しで使用すると思わぬ事故を起こしたり、新品のバッテリーをあっという間にダメにする可能性があるので、その特性をよく理解してから運用することをおすすめしますよ。

といっても、知ってしまえばそうほど難しいことではないので、気軽な気持ちで読んでいただければと思います。

ドローンで使うバッテリーは「リチウムポリマー二次電池」

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まずドローンで使用するバッテリーの種類ですが、「リチウムイオン二次電池」「リチウムポリマー二次電池」があります。

その中でもレースやフリースタイルドローンでは「リチウムポリマー電池」を使用するのが一般的です。

「リチウムポリマー電池」はリチウムイオン電池の一種であり、電解質に重合体(ポリマー)を使用していて、電解液が「ゲル化」しています。

電解質が準固体状態であるため液漏れによる回路の故障がありませんし、発火や爆発のリスクが少なく、電解液のリチウムイオン電池より安全性が高いと言われています。

外装容器に缶ではなくアルミラミネート袋を用いるため、薄型で希望の形状を製造でき、非常に軽量に仕上げることができます。

しかしその反面、外皮がラミネートのため、金属管を使用しているリチウムイオン電池と比較し外部からの衝撃に弱いというデメリットがあります。

ドローン以外にもラジコンカーや電動ガン、身近なものではiPhoneなどのスマホやタブレットにも使用されています。

リポバッテリーの基本は1セル3.7~4.2V! セルを重ねてパワーを上げる!

P5231990※画像は4セルのリポバッテリー

リポバッテリーがどういったものか理解した上でさらに詳しくご紹介致します。

リポバッテリーの電圧は、1セルにつき3.7~4.2Vになります。
通常時のバッテリー電圧は3.7Vで、満充電時には4.2Vまで上げることができます。
そして最低電圧は3.0Vになります。

サイズや形に関わらず、どんなリポバッテリーでも同じです。

4V前後ではタイニーフープのような軽量のドローンしか飛ばせませんので、セルを直列で重ねて繋ぎパワー(電圧)を上げます。

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子供の頃、乾電池で豆電球を点ける実験をやりましたよね。
乾電池を直列でつなぐと、つないだ分だけ電圧(V)が上がりますが、電流(A)は同じです。

並列繋ぎはその逆で、電圧(V)は変わりませんが、電流(A)はつないだ分だけ増えます。

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それを踏まえ、画像の一番左が1セル、隣が2セル、その隣が3セル、4セル、そして6セルになります。

セルを重ねて直列で繋ぐことにより電圧(V)が3.7Vずつ増えていきます。
例えば、2セルなら3.7V×2で7.4V、4セルなら3.7V×4で14.8Vといった感じです。

以前までは5インチ機では4セルが主流でしたが、現在はみなさん6セルを使っていますね。
6セルだと22.2Vですからね。
セルを重ねるごとにパワーが上がるので、操作が未熟な私は、怖いので4セルを使用しています。

1セル(3.7V)はタイニーフープ用

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1セル(3.7V)バッテリーは、超軽量のマイクロドローン、「タイニーフープ」などで使用されます。
ドローンの重量は30g以下が多く、250mAh前後で3~4分程度の飛行が可能です。

2~3セル(7.4~11.1V)は少し大きめのマイクロドローンや3インチ機

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2~3セルはタイニーフープより少し大きめのドローンで使用します。
室内は2セル、野外では3セルという使い方が多いですね。

3インチ機のレースドローンは大体2~4セルに対応しています。
中には6セル対応の3インチ機もありますが、機体が小さい分安定感がないのでそれなりの操縦テクニックが必要になるかと思います。

目安としてはバッテリー容量は400~700mAhくらいで、大体4~6分くらいの飛行が可能です。

4~6セル(14.8~22.2V)は主に5インチ機以上

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5インチ機にもなると重量も結構あるので4~6セルを主に使用します。
このあたりになると、モーターもパワーがあり、プロペラも大きくなるのでバッテリー容量も1,000~1,800mAhと大きくなりますね。

あくまで私のドローンになりますが、飛行時間は4セル1,600mAhで6分前後といったところでしょうか。

バッテリーに表記されている「65C」の「C」とは放電能力のこと

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バッテリーのセルに関してはご理解いただけたかと思いますので、次は「放電能力」についてご説明致します。

バッテリーを購入する時に「50C」や「65C」などという数字を見かけると思います。
これはそのまま「シー」と読むのですが、これはCレートのことで、「放電能力」を表しています。

放電能力 = Cレート × バッテリー容量

放電能力は上記の計算になるので、Cの値が高ければ高いほど放電能力が優れていることになります。

例えば私のバッテリーを当てはめてみましょう。

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このバッテリーは「4S(セル)/1,800mAh/65C」です。

ここで注目するのはバッテリー容量とCレートです。
容量は1,800mAhで、Cレートは65となっていますね。

容量の1,800mAhは1.8Aに変換して計算します。

先程の計算式に当てはめると、「65(Cレート) × 1.8A(バッテリー容量) = 117A」になります。

つまりこのバッテリーは、117Aまで電流を流すことができるバッテリーということになります。
ドローン用なので、かなり放電出力が高いバッテリーですね。

ただ、これが定格出力なのか最大出力なのか不明な場合があります。
「50-65」などと書いてあれば「50」は定格、「65」は最大とわかるのですが、明記してない場合は注意する必要があります。

リポバッテリーの充電は、バランス充電対応の充電器が必要

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リポバッテリーを充電する場合は専用の充電器が必要になります。

1セル充電の場合は関係ありませんが、セルが増えるとバッテリー内でセルの誤差が生じる場合があります。

その場合正常に充電できなくなりますので、2セル以上は必ずバランス充電するようにして下さい。

リポバッテリーの取り扱い注意事項

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ざっとリポバッテリーに関してご説明させていただきました。
私も最初はわけがわからず色々調べまくりましたが、理解してしまえば大したことではないんですよね。

それでも事故が起こる可能性もありますし、過充電や過放電に気をつけないと、すぐに使えなくなってしまいますのでご注意下さい。

過充電

リポバッテリーは前述した通り最大4.2Vまでです。
これ以上の電圧まで充電することを「過充電」といいます。

専用の充電器を使用している場合は、満充電になったら自動でストップします。
ですのでそれほど心配はいらないかと思いますが、充電はストップしていても充電器に接続されているだけで微弱な電流が流れているそうです。

充電が終わってもずっとそのままで放置していると、過充電になる可能性があるので、タイマーなどを付けて充電が終わったら必ず充電器から取り外すように心がけて下さい。

過放電

バッテリーは使っているうちに電圧が下がってきます。
電圧が低い状態で使い続けるとバッテリーの寿命を縮めたり、充電しても電圧が上がらなくなることがあります。

大容量バッテリーは安くはないので、OSDにバッテリー電圧などを表示して3.0V以下にならないように使用して下さい。

保管による過放電

使用している時は3.0V以下に抑えていても、そのまま放置していたら自然放電によりどんどん電圧が下がります。

昔買ったデジカメを久しぶりに充電したら充電されなかったということはありませんか?
それと同じで、電圧が下がりすぎると、バッテリー自体が死んでしまい充電しても電圧が上がらなくなります。

何度か充電を繰り返すと息を吹き返して電圧が上がることがありますが、いずれにしてもそうなったらそのバッテリーはもう使い物にはなりません。

保管する際は、専用充電器の「ストレージモード」で適正電圧にしてから保管するようにして下さいね。

満充電の保管

保管による過放電もバッテリーの寿命を縮めますが、満充電での保管もバッテリーに非常に負担がかかります。

よくあるパターンでは、ドローンを飛ばそうと数本充電しておいたけど、当日雨で飛ばせなかった。
もしくは全部使いきれなかったという場合ですね。

「来週行くからこのままでいいや」と、満充電のまま保管するのはよくありません。
バッテリーの寿命を少しでも伸ばすためにも、ストレージモードで適正電圧まで下げてから保管するようにして下さい。

まとめ

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今回はリポバッテリーについてご説明させていただきました。
私も当初全然わからず、ネットで調べまくりましたよ。

DJIドローンを飛ばしている当時は、バッテリーだけでこれだけ覚えることがあるのかとビックリしましたよ。

DJIのバッテリーは完全に管理されています。
充電もカチッとはめ込むだけですし、バッテリー自体にコンピューターが入っているので、満充電で放置しても自動で適正電圧まで放電して保管してくれます。
バッテリーに関して何も知識がなくてもなんとかなっちゃうんですよね。

しかし、FPVドローンをやるようになってから、基本的な知識が身に付きました。
逆に今までこの程度の知識でよく飛ばしていたなと思いましたよ。

昔からラジコンやドローンをやられている方には当たり前の話だと思いますが、最近、特にDJIドローンから始めた方はバッテリーに関しては意外と知識がない方が多いかも知れません。

FPVドローンに興味がないという方も、知っておいて損はないと思いますので、参考にしていただけたらと思います。